【大分】新提案!大分&別府で巡る「建築」&「アート」の旅 〜大分市編〜
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ライターになって20数年。九州各地を取材で駆け巡ってきましたが、出身地でもある大分県へは、別府や湯布院を中心に幾度となく足を運んできました。
九州内の媒体はもちろん、全国版の雑誌や時には海外版のメディアでも別府、湯布院を取材し、掲載する内容のその多く、いやほとんどが温泉に関してでした。そりゃそうです、だって大分県は「おんせん県おおいた」ですもの。
特に温泉に関しては、源泉数・湧出量は日本一を誇るほど。世界で確認されている10の泉質のうち、なんと8種が湧くという、名実ともに日本一の温泉大国なんです…。
前置きが長くなりましたが、何が言いたいかというと
「大分県は温泉だけじゃない!」。
実は「建築」と「アート」の視点でも楽しめるエリアなのです。
明治や大正時代などから現存する多くの歴史的建築物や、世界的建築家を輩出するなど、視点を少し変えれば、「建築」と「アート」に溢れた町だったんです。
そこで、今回は大分市&別府市の「建築」と「アート」に焦点を当て、オススメスポットをご紹介!
※この記事は2022年4月時点での情報です。休業日や営業時間など最新の情報は、各施設・店舗へお問い合わせください。
JR大分駅のホームにアート空間が出現!
JR大分駅で2021年9月からお目見えした「大分ステーションギャラリー」。ホームの一角に設けていた元喫煙室をアート空間に再活用しています。
第1弾として、大分県立美術館OPAMと、大分市美術館が、2つの乗り場でそれぞれに小さな美術館を開館中です。
写真は3・4番線ホームで展示中の「キメラブネ」。こちらはザ・キャビンカンパニーによる作品。
その昔、南蛮文化により大分にもたらされたという動物「虎」「象」「孔雀」を混ぜ合わせた「キメラ」が運ばれてくる様子を表現しています。
このお二人がザ・キャビンカンパニーの阿部健太朗さんと吉岡紗希さん。二人組の絵本作家/美術家。ともに大分県生まれで、2009年にユニットを結成以来、多数の絵本を出版中。
このお二人の作品の展示は3月30日まで。その後はまた新たな作品を展示する予定です。
こちらは5・6番線ホームで展示中の北村直登さんの作品。ダンボールの隙間から見える空間には動物たちが集まっている様子が…!これはコロナ禍前の密な空間を表現したとのこと。
※北村直登さんの作品展示は4月5日まで。その後はまた新たな作品を展示する予定です。
こちらが「大分ステーションギャラリー」の仕掛け人・JR大分駅の甲斐駅長。
「元々大分駅はJR九州などの列車のデザインを手がける水戸岡鋭治さんがデザインしたものなんです。いわば、デザイナーズ駅の先駆けで、駅構内の天井や床、ガラス張りの駅長室など、細部にまでこだわって造られています。
2020年に全面禁煙化されたのをきっかけに、ホームにはガラス張りの喫煙室が取り残されてしまいました。大きさは約15㎡で四方はガラス張りです。
これは何かに使わないともったいない!と思い、アート空間に新生しました。ぜひホームで気軽にアート作品に触れてください。
JR大分駅
[TEL]097-532-1958
[住所]大分県大分市要町1-1
市内の街中に佇む、磯崎新氏の代表作「アートプラザ」。
大分市出身、世界的建築家・磯崎新氏の設計。代表作とも言われる建物。ギャラリーなどからなる大分市の複合文化施設です。
1966年に「大分県立大分図書館」として竣工し、1998年に「アートプラザ」としてリニューアル。図書館時代には日本建築学会賞を受賞しています。
ここで磯崎新氏のプロフィールをご紹介。
1931年大分県生まれ。1954年に東京大学工学部建築学科を卒業し、1963年に磯崎新アトリエを設立。国内外で多くの作品を手がけ、九州ではJR由布院駅、北九州国際会議場、北九州市立中央図書館など。
2019年には、建築界のノーベル賞と言われているプリツカー賞を受賞。
そんなスゴすぎる建築家・磯崎新氏のワールドがアートプラザで堪能できるんです!
入ってすぐ出迎えるのが「60’Sホール」。1960年代に活躍したアーティストや60年代をテーマにした作品を紹介しています。コンクリートの無機質な空間に上から柔らかい光が降り注ぐのは、磯崎新氏の計算。朝、昼、夕方と、時間帯によって光の入り方が異なるのも特徴です。
3階には磯崎新建築展示室があり、建築に関する模型や資料などが展示されています。こちらも見応え抜群。
アートプラザ
[TEL]097-538-5000
[住所]大分県大分市荷揚町3-31
[営業時間]9時〜22時(ミュージアムショップは〜17時、磯崎新建築展示室は〜18時)
[定休日]12/28〜1/3
[料金]入館料無料
[アクセス]JR大分駅より徒歩10分、東九州道大分ICより15分
[駐車場]あり※要確認
「アートプラザ」の詳細はこちら
見どころ満載!世界的建築家・坂 茂氏による設計の「大分県立美術館 OPAM」。
2014年、建築界のノーベル賞と言われているプリツカー賞を受賞した坂 茂(ばんしげる)氏が設計した「大分県立美術館 OPAM」。
世界各地でも多くの美術館を手がける坂 茂氏の設計とあって、2015年の開館以来、注目を浴び続け、2022年3月には来館者数が通算350万人を突破したとのこと。スゴい!
1階のアトリウムにはカラフルなたまご型のアート作品が出迎えてくれる。マルセル・ワンダースの《ユーラシアン・ガーデン・スピリット》 2015年
※展示していない場合もあり
そこでココでは館内の「建築さんぽ」と題し、「建築」の観点から様々な魅力をご紹介します。
坂 茂氏は「誰もが気軽に立ち寄って欲しい」と、1階は全面ガラス張り。しかも「水平折ガラス張り。しかも「水平戸」という様式で、窓がバーンと開くんです!
美術作品などを適切に管理するため常時開放はせず、空気環境が館内と近い5月、10月などに開放する予定なんだとか。
またミュージアムショップやカフェなど、アートに興味がない人でも日常的に利用できるスペースを設けているのも特徴の1つ。普段使いができる美術館って、いいですよね。
3階にある屋外展示スペース。上をみてください。竹工芸をイメージさせる天井です。大分の伝統工芸・竹工芸の「六つ目編み」をイメージしたもので、緩やかにウェーブがかかった木組の天井は美術作品かと見まがうほど!とにかく美しいの一言。
屋根に空いた天窓から自然光が降り注ぎ、そこにアートが展示されています。
こちらは外観の木組の格子。館内から間近に見ることができます。県産杉を用いた斜め格子の木組に、鉄骨+唐松の柱で構成されています。
ちなみに床には温かい素材感の「日田石」が使われるなど、大分県産にこだわった素材にも注目です。
こちらは2階にある「café Charité」。パーティション、テーブル、椅子など、すべて紙管が使われています。長年、紙を使った建築素材を研究してきた坂氏だからこそ生み出したカフェ空間。これぞ坂 茂ワールド!
こちらは「ペデストリアンデッキ」。OASISひろば21と美術館を繋ぐ通路です。
長さは約80m。こちらのデザインも竹工芸がモチーフになっていて、まるでアート空間の中を歩いているような気分に。車椅子での利用にも配慮し、傾斜は約3%。細かな気配りも坂 茂氏設計の特徴です。
紹介したスポットは全部美術館の無料ゾーンにあります。
ただの美術館ではない、建築そのものがアートと化した「大分県立美術館 OPAM」。希望すれば受付にて美術館の「建築さんぽマップ」を無料配布しているので、ぜひぜひ活用してみてくださいね!
大分県立美術館 OPAM
[TEL]097-533-4500
[住所]大分県大分市寿町2-1
[開館時間]10時〜19時、金・土は〜20時(入場は閉館の30分前まで)
[定休日]なし
[アクセス]JR大分駅より徒歩15分、東九州道大分ICより10分
[駐車場]250台
「大分県立美術館 OPAM」の詳細はこちら
大分生まれ。福岡市在住。旅と音楽とテレビと映画とスイーツが好き。さそり座。A型。